カミキリ(天牛)をめぐって -ツィッターの話題から-(3) 【加筆アリ】
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今日のカミキリ画像は、18世紀後半のイギリスの昆虫学者ドゥルーリ著『自然史図譜』(荒俣 宏『世界大博物図鑑 �虫類』<平凡社>所載)によるもの。解説によればジャマイカに分布する南米産カミキリムシの一種とのことです。

img274.jpgカミキリの名は、これまでに何度も引用したことのある『和名抄』にも採録されています。

左の画像は、その十巻本系の「伊勢本」巻八、蟲豸部「蟲名」の一部にあたる箇所です(馬淵和夫『古写本和名類聚抄集成』<勉誠社>による)。ここにはさまざまの「(むし)」や「(ながむし)」の名前が掲げられており、問題のカミキリムシもその中に収まっています

見出し字「齧髟虫」の下に加えられた注記には、中国の字書『玉篇』に載るこの虫の漢字表記「」と『(楊子)漢語抄』という、現在は散逸して伝わらない文献に施されたこの漢字の和訓「加美岐利无之(かみきりむし)」が引用されています。

ところで、この和訓を表す万葉仮名六字の左側には「声点(しょうてん)」と呼ばれる記号が朱墨で施されています。この記号には、それぞれの仮名が表す音節の清濁とアクセントを一緒に示す機能があります。

追記:最終段落に加筆しました 2010.08.02
このうち清濁については、後の時代には清音が単点、濁音が複点(二点)によって示されるようになります(今日使用されている濁点の起源はここにあります)。ただし上記の古写本に施された声点にはまだ清濁の別を示す機能はなく、もっぱらアクセントを表示する機能に限られています。 (この項続く)

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4

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カミキリ(天牛)をめぐって -ツィッターの話題から-(2)
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上の画像は、18世紀ドイツを代表する昆虫画家レーゼル・フォン・ローゼンホフ著『昆虫学の愉しみ』に載るカミキリの仲間です(荒俣 宏『世界大博物図鑑 �虫類』<平凡社>による)。

ところで、カミキリの名が日本の文献に登場するのはいつ頃のことでしょうか。

平安後期の成立とされる『堤中納言物語』の中によく知られた「虫めづる姫君」という短編があり、カハムシ(毛虫)・テフ(蝶)・イボジリ(蟷螂)・カタツブリ(蝸牛)・クチナハ(蛇)などの名が見えます。しかし残念ながらカミキリはここには顔を出してくれません。

カミキリの名が記された、これまででもっとも古い文献は、昌泰年間(898~901)頃の成立と見られる漢字字書『新撰字鏡』です。

img275-4.jpg左に掲げる画像は、書陵部所蔵の天治本『新撰字鏡』巻八「虫部」の該当箇所です(京都大学国語学国文学教室編複製本による)。

この字書も前に引用した『和名類聚抄』と同じく、意義分類に従って漢字を配列したものですが、ここには虫偏の漢字が集められています。その中に画像に見るような【虫+切】字が掲げられてあり、その下に万葉仮名で「加弥支利(かみきり)虫」とあります。まことにあっけない記述ですが、ともあれ、これがカミキリの初出記事であることには変わりありません。

この見出し字は見慣れない文字ですが、これは虫部の最後に「小学篇字」として収められた虫偏字七〇字の中の一つにあたるものです。

「小学篇字」というのは、いわゆる「国字」を指す名称です。したがってこの字は日本で作られた漢字にあたります。念のために『大漢和辞典』を検索してみても、このような字は見つけることができません。中国にはこんな漢字はないからです。

それにしてもカミキリを表すのに日本で考え出されたこの【虫+切】字は、まことにぴったりの造字ではありませんか。 (この項続く)
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カミキリ(天牛)をめぐって -ツィッターの話題から-(1)
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7月28日のツィッターにアップした「今日の季語」の記事は次のようなものでした。

【今日の季語】天牛(かみきり):漢語「天牛」はこの虫が空を飛び長い触角を持つところから生まれた。和名は髪を噛み切るほどに鋭い口器を持つことによる「髪切虫」の意。◆髪切虫の黒紋付の男ぶり(富安風生)

例句に用いた風生句の「髪切虫」は「かみきりむし」ではなく三字で「かみきり」と熟字訓に読むべきものですね。

本日の冒頭の画像は、札幌在住の旧友でいわき文音連句の連衆の一人の禿山氏が、この記事にちなんでメールに添付して送って下さったもの。7月25日に市内の円山公園で撮影したというルリボシカミキリの雄姿。氏の許可を得てご芳志のお裾分けをいたします。

ところで、この記事をツィートしたところ、毎回各方面にリツィート(RT)により拡散して下さる方々の中から、今日までカミキリのカミは《紙》を指すものとばかり思っていた、というコメントを少なからず頂きました。そこで今回はこの虫の名前に関する日本語史的な話題を中心に据えて、ブログに取り上げることにしました。(この項続く)
とびぃ
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烏賊も木賊もともに賊族 -「賊」の付く漢熟語-(3)
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十三世紀以前の成立とされる『平家物語』、その巻第一「殿上の闇討」にもトクサ関連の話があります。

天皇がその年の新穀を天神地祗に奉る「豊明節会(とよあかりのせちえ)」の折には「五節の舞」が催され、その際には殿上人に御酒が振舞われます。その宮中の宴席では朗詠や今様などの芸能に合わせて即興の歌が披露されたりもします。

殿上人の中には、その折に乗じて、出世著しい人物に対する妬みから、その人を当てこする歌を作って囃し立てたりするような、けしからぬ振舞いに及ぶ者たちもいました。

藤中納言家成(いえなり)卿という人物がまだ播磨守(現在の兵庫県の国守)であった時分、後に太政大臣を務めることになる忠雅(ただまさ)公が十歳の時に父に先立たれたのを哀れんで、自らの聟に迎えて華々しく後見役を務めたことがありました。ところが、このことを快からぬことに思う殿上人たちがその節会の折にこんな歌を詠じました。

播磨米(よね)は、木賊か、椋の葉か。人の綺羅を磨くは。

家成卿の任地播磨国は、その名で呼ばれる米の名産地。その米を卿になぞらえて、「播磨米というのはトクサなのか、それともムクノハなのか。職人が物を磨くように、人を豪華に磨きたてることよ」という皮肉を籠めたものです。

この話からもまた、トクサがムクノハと並んで物を磨き立てる役割を果たすものであったことが知られます。

ところで立場を変えてみれば、トクサで磨かれる木にとっては、この草は自らの身を削る曲者、すなわち「賊」のような存在です。こういうことから中国では、この草を「木賊」の名で呼び、そのことを記した文献が我が国にもたらされて、やがて通用の熟字となったのでしょう。

あるいはひょっとすると、トクサを木工用の研磨材として利用する技術もまた、この漢字表記とともに中国から渡来したものだったのかもしれません。 (この項終り)

【追記】この記事をご覧になったツィッターメンバーの @daysentoさんから、現在でも櫛・鼈甲・漆芸などの分野や、雅楽の篳篥(ひちりき)のリードを磨くのにトクサが使われている旨のご教示を頂きました。記して感謝します。

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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烏賊も木賊もともに賊族 -「賊」の付く漢熟語-(2)
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img273-1.jpg左の画像は、昨日引用した『和名類聚抄』(「和名抄」)の「調度部細工具」に収められた「木賊」「椋葉」の項を拡大したもの。それぞれに万葉仮名で「度久佐(とくさ)」「无久乃波(むくのは)」の和訓が施されています。見出し語の振り仮名は原本の成立当初からあったものではなく、このような万葉仮名表記に基づいて後世の人が伝写の間に書き加えたものです。

前項の出典として記されている『弁色立成(べんしきりゅうじょう)』というのは、すでに散逸してしまったために和漢いずれの書であるかさえも判然としない書籍の名前です。しかしそれに記されていたという「木賊」の文字は、これとは別に、中国の漢方学の古典『本草』にも収録されている(『大漢和辞典』「木」字「木賊」の項による)ので、この熟語は中国伝来のものであり、日本でこれに和名のトクサをあてて用いたものと見てよいでしょう。

ところで、和名抄にトクサやムクノハが「細工具」として収められていることについては昨日の記事ですでに触れましたが、それらが実際にそういう目的で使われていたことを示す証例は古典文学作品の中からも見つけ出すことができます。

十一世紀中頃に成立した『栄花物語』は、藤原道長の栄華のさまを描いた歴史物語です。その巻十五「うたがひ」の中に、道長が寛仁四年(1020)に建立した法成寺(ほうじょうじ)の造営のありさまが描かれています。

御堂の内を見れば佛の御座造り輝かす。板敷を見れば、木賊椋葉・桃の核(さね)などして、四五十人が手ごとに居並(ゐな)みて磨き拭(のご)ふ。

ここには、大勢の工匠たちが一斉に寺院の床板の仕上げにかかっている様子が描かれています。彼らが手にしているのは、トクサ・ムクノハ・モモの種で、そのどれもが建材を滑らかに磨き上げるための道具であったことが知られます。 (この項続く)

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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烏賊も木賊もともに賊族 -「賊」の付く漢熟語-(1)
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今回のタイトルは短句仕立てです(笑)

イカの「烏賊」と同じく漢字表記に「賊」字が用いられる例は植物の名前にもありますね。トクサを「木賊」と書くのがそれです。

トクサの名は「砥(と)草(くさ)」から来たものです。この和名が示すように、この草はかつて木材などを研ぎ磨く材料として用いられました。その茎に多量の珪酸質が含まれているため、表面は固くざらざらしているので、昔はこれを煮て乾燥させたもので建材や細工物を磨いたり、金属の錆を落としたりしました。現在の紙ヤスリの役割が与えられていたわけですね。

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上の画像は、前にも引用した『和名類聚抄』、その「伊勢十巻本」(神宮文庫蔵)のコピー(馬淵和夫『古写本和名類聚抄集成』<勉誠社>による)。この辞書は意義分類によってそれぞれに該当する語彙を集め、その漢字表記を掲げたもので、ここに見えるのは、その巻第五「調度部」に収める「細工具」の一部です。

ここには調度類の細工に用いられる道具や材料の名が列挙されていますが、終わりの二行に「木賊(とくさ)」と「椋葉(むくのは)」の並んでいる点が注意されます。

後者の「椋葉」に施された注記に「具(つぶさ)ニ木類ニ見ユ」とあるところからも知れるように、これら二項目は、我々の目から見れば「木類」に収められるのがふさわしく思われます。後者については、上の注記にあるように、「椋」の見出しが「草木部」の「木類」にもありますが、「木賊」の方は期待される「草類」には収められていません。

これらの植物名が「細工具」の項目に置かれているのは、この辞書の編者にとってはこの方が適切な分類の仕方であったことを示すものです。 (この項続く)

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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「タコの漢字表記」付録 -イカの漢字表記について-
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img268-1.jpgタコのことばかり取り上げてイカに言及せぬというは、片手落ちならぬ十本足の二本足落ち、イカがなものか、という抗議がイカ側から来そうなので、タコイカ両生物界の公平を期するために、このものの漢字表記についても取り上げることにいたします。

上に掲げる画像は、ドイツの生物学者リュッペル(1794-1884)の著した『北アフリカ探険図譜』に載るインドアオリイカの画。どことなくユーモラスなご面相ですね(荒俣 宏著:世界大博物図鑑別巻2『水生無脊椎動物』<平凡社>による)。

閑話はさて置き、本題に入りましょう。イカの漢字表記に「烏賊」の漢字表記を用いるのにはどのようないわれがあるのでしょうか。

これについては、左に掲げる画像、すでに本項(4)で取り上げた『和名類聚抄』(伊勢本)の「烏賊」の項にその答が示されています。参考のためにその訓読を記しておきましょう。

烏賊  南越志ニ云フ(割注略) 常ニ水上ニ浮カブニ自(よ)リテ、烏見テ死セリト以為(おもふ)。之(これ)ヲ啄(ついば)メバ乃(すなはち)之(これ)ヲ巻キ取ル。故ニ以(もっ)テ名(なづ)ク。

ここにはこんなことが書かれています。

イカはひそかにたくらむところがあって海の上に浮かんでいます。するとカラスがこれを見て、てっきり死んだイカが浮かんでいるものと思い、空から降りてきてイカをつついて食おうとする。そこでイカは、しめたとばかりに長い手を伸ばしてカラスを巻き取って捕らえる。すなわち、イカは烏の賊(あだ・かたき)なので「烏賊」と書くのです。

こんなことが中国の『南越志』という古書に載っています、というのがこの記事の骨子です。

ずいぶんのんびりした話ですが、「烏賊」という漢字表記のいわれはこういうところにあったのですね。

あ、そういえば、イカのくちばしの部分を俗にカラストンビと称しますね。このことからすると、イカはカラスだけでなく、トンビも捕まえて食うと考えるのが妥当であろう、ト、さる法螺吹きのセンセが仰有っていましたが、果たしてこれはどうでしょうかね。
とびぃ
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タコの漢字表記をめぐって -ツィッターの話題から- (6)
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上の画像は、江戸の博物学者毛利梅園(1798~1851)の手になる「梅園魚品図正」(国会図書館蔵)に載るタコの画です(『彩色 江戸博物学集成』<平凡社>より)。

図の右下に見える「癸巳十月十二日真写」の年記により、天保四年(1833)の作であることが知られます。ここに描かれたのはマダコですが、丹念な筆致はカラー写真よりもかえって生々しく原姿を再現しています。

右上にある注記の最初に「本草曰、章魚 タコ」とあり、続いて「章挙」「■魚」(■=人+吉+鳥)の熟語が示されています。これら三語はいずれも漢籍に典拠を持つもので、梅園の博学ぶりを示すものですが、「章魚」の出典に「本草」とあるのは、前に引用した「本草和名」のことではなく、その原典にあたる中国の本草学の古典とされる「新修本草」のことです。

その「本草」に載る「章魚」の項には次のようにあります(『大漢和辞典』「章」の項に引用された漢文を訓読)。

集解、時珍曰フ、章魚南海ニ生ズ。形烏賊(いか)ノ如クニシテ大。八足。身ノ上ニ肉有リ。

「章魚」の「章」がどのような意味を表すのに選ばれたのかは不明です。ちなみに同じ魚名で漢籍に典拠を持つものとしては、梅園の注記に出る「章魚」(本草)・「章挙」(韓愈詩)の他に、「章拒」(蟫史)もあり、いずれも「シャウキョ」「シャウギョ」と読まれるものであるところからすると、あるいは借音表記なのではないかということを思わせるふしもありますが、結局のところは未詳とする他はありません。

ともあれ、タコを表す「章魚」の表記もまた、中国の文献に由来するものであることは明かです。 (この項終り)
とびぃ
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ツィッター乱吟歌仙『沖縄忌』の巻が満尾しました(縦書)
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ツィッターのタイムライン上で興行中の乱吟歌仙『沖縄忌』の巻が本日めでたく満尾を迎えました。その清書版を縦書きにしてご覧に供します。

この興行は、付順を決めずに、毎回ツィッターのダイレクトメールによって投句して頂き、捌きがよい句を選ぶ「出勝(でがち)乱吟」の方式に従いました。この興行形式は初めての試みでしたが、総勢八名の方々からのご出句を得て無事満尾に漕ぎ着けることができました。ウェブ上の座に連なって下さったご連衆の皆さまに改めて御礼申し上げます。

なお I.E. などのブラウザでは画面が乱れることがありますので、Firefox または Safari で、画面設定で文字の大きさを小さめにしてご覧になることをお勧めします。


 
タl乱吟歌仙
沖縄忌
の巻
 
 
 
 
 
宗海捌
 
 
初折表
 
発句
 
おうな
泣く少女のやうに沖縄忌
 
 
水魚
 
仲夏
 
 
 
 
潮の香りを運ぶ白南風
しらはえ
 
 
宗海
 
仲夏
 
第三
 
竹籠を天秤棒に吊り下げて
 
 
 
 
 
 
 
氷心
 
 
 
 
 
小銭並ぶる厚き手のひら
 
 
 
 
 
 
 
松翠
 
 
 
 
プレゼンを仕上げた空に月の舟
 
 
 
 
 
凪海
 
三秋
 
折端
 
 
板塀越しに覗く大菊
 
 
 
 
 
 
 
 
 
玄碩
 
晩秋
初折裏
 
折立
 
ご内儀の秋刀魚盗らるる猫長屋
 
 
 
 
 
 魚
 
晩秋
 
 
 
 
出勤前にゴミの分別
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
長年の独り暮らしに灯が点り
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しみもほくろもチ
ムポイント
 
 
 
 
 
 
 
 
頬杖と傾げる小首夢に見て
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まだ温かき骨の真白く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
冬の月差して鎮まる湖
うみ
の綺羅
 
 
夕烏
 
三冬
 
 
 
 
浮寝の鳥の朝賑
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三冬
 
 
 
せな
の子は上機嫌なる台所
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
物売りの声路地に響けり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
湯治場に花の盛りを数へ待つ
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
折端
 
 
春風連れて渡る吊り橋
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三春


名残折表
 
折立
 
青年の揺るるともなくふらここに
 
 
 
 
 
 
三春
 
 
 
 
故郷遠しと仰ぐ路線図
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
犀星の詩集詰めたるデイバ
 
 
 
 
 
莉由
 
 
 
 
 
古本屋みな北向きに建つ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
噴水に待ち合はすればしぶき浴び
 
 
 
 
 
 
三夏
 
 
 
 
泣きごと言はぬひとのうらめし
 
 
 
 
 
 
 
 
 
撓垂
しなだ
れて恋の売り値を仄めかす
 
 
 
 
 
 
こよひ最後の舟の刻限
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
陣痛に堪へてをんなの島育ち
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
貴人の流離語る老僧
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
山門の影を浮かべて薄月夜
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三秋
 
折端
 
 
そこはかとなくにほふ木犀
 
 
 
 
 
 
 
 
晩秋
名残折裏
 
折立
 
擦れ違ふ舞妓の袖に秋の風
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三秋
 
 
 
 
スケ
チブ
ク持ち歩く癖
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
大空に飛行機雲が伸び行きて
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
若き父御
ててご
にせがむ肩駒
 
 
 
 
 
 
 
 
宅配の停めて見上ぐる花万朶
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
挙句
 
 
遍路の道は浜辺はるかに
 
 
 
 
 
 
 
執筆
 
三春
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
起首
 
二〇一〇
〇六
二四
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 満尾
 
二〇一〇
〇七
一八

とびぃ
連句
2

thema:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など - genre:学問・文化・芸術


タコの漢字表記をめぐって -ツィッターの話題から- (5)
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img268.jpg昨日取り上げた『和名類聚抄』(以下「和名抄」)伊勢本の画像を左に再録します。

ここに示された記事本文の中でもう一つ注意すべき点は、第二の項目に掲げられた「小蛸魚」に施された注記の内容です。これを読み下し文に改めて示します。

崔禹食経ニ云フ、小蛸魚。知比佐岐太古(ちひさきたこ)、一(あるいは)云フ、須流米(するめ)

崔禹食経』とは、中国の崔禹錫が編集した食物本草書で、成立は七世紀後半から九世紀末の頃と推定される文献。中国本土では早くに散逸してしまい日本にも現存はしませんが、平安時代頃の伝来後、十指を越える書物に引用されたことが幸いして、部分的にせよ、その内容が現在に伝わっています。上記「和名抄」の注記もそうした断片の一つにあたります。(参考:中橋創太「『崔禹錫食経』の研究」 http://mayanagi.hum.ibaraki.ac.jp/students/05/nakahashi/index.html )

「和名抄」に引用されたこのくだりには、画像に見るように万葉仮名による和名が記されていますが、これは言うまでもなく、この中国文献が我が国にもたらされた後に、日本人の手によって何らかの注記が加えられていたことを示すものです。そのような状況のもとに「小蛸魚」に加えられた語釈が《小さな蛸魚(たこ)》と《するめ》であったというわけです。

すでにお気づきのように、このような注釈作業において、《小さなタコ》の意を表す漢語の和訓にスルメが選ばれているというのは、これがスルメの登場する最古の歴史的資料であることと併せて特筆すべき事柄です。 (この項続く)

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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タコの漢字表記をめぐって -ツィッターの話題から- (4) 【加筆アリ】
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今日のトップ画像は、昨日のツィッター【今日の季語】で季題に取り上げた「青柿」。もうこんなに丸々と育って、秋が近いことを告げています。

昨日紹介した『本草和名』の記事は、さらにこれに続く辞書に受け継がれていきます。これにもっとも近い時期のものとしては、源順(みなもとのしたがう)の編集した『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(934年成立)を挙げることができます。

この辞書は意義分類に従って漢語を集め、それぞれの語義やその訓読みにあたる和語を記したもので、その伝本は十巻本と二十巻本の二系統に分かれます。

img268.jpg左に掲げるのは、室町時代初期頃に書写された十巻本系に属する「伊勢本」と称される古写本の一部で、そこに載せられたタコに関する記事の画像です(馬淵和夫『古写本和名類聚抄集成』<勉誠社>による)。ちなみに、ここに見える振り仮名は、本文の記事の中に万葉仮名で記された和名に基づいて後世に書き加えられたもので、原形を伝えるものではありません。

ここには、昨日掲げた『本草和名』の記事が「本草云(本草ニ云フ)」として引用されている他に、『日本書紀』の注釈書にあたる「日本紀私記(にほんぎしき)」から引用された「貝鮹」が「加比太古(かひだこ)」の和名とともに、新たな見出し項目とされています。またその前にもう一つ、『崔禹食経』なる文献から引用された「小蛸魚」の見出しと記事も別に加わっています。

これらの三項目について見ると、注意されることがらが二つあることに気付きます。

まずその一つは、上記の「貝鮹」の項に、「蛸」とは別の魚偏の「」字がタコを表す単字として使用されている点です。

この漢字に対しても、日本ではタコの訓読みを与えていますが、中国の『廣韻(こういん)』という韻書(漢字をその韻によって分類した字書)の「鮹」の項には、「海魚。形鞭鞘ノ如シ海に棲む魚で、鞭鞘(むち)のような形をしている》」という字釈が施されているところから、タコとは異なる細長い形をした魚であることが知られます。

しかしながら、この漢字は魚偏ですから、虫偏でクモを指す「蛸」よりは具合がよい。本来ならばタコを表す一字漢字としてはこの「鮹」字の方がふさわしいはずですが、なぜかこれが用いられずに、本来はクモを表す「蛸」の方が選ばれて、現在まで使用されてきたというわけです。 (この項続く)

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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タコの漢字表記をめぐって -ツィッターの話題から- (3)
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タコの漢字表記が我が国の文献に登場する早い例は、次に掲げる『本草和名(ほんぞうわみょう)』に見ることができます。

img267-1.jpgこの文献は、平安時代初期の918年ごろに成立したもので、主に中国の文献に基づいて薬物の名前を集めた辞書です。

この辞書は当時の薬種1025の漢名を一定の意義分類に従って配列し、漢文による語釈を加え、万葉仮名でその読みにあたる和名を記したものです。編者は本草学者の深根輔仁(ふかねすけひと)という人物。

現在見ることができる伝本は、江戸期の寛政八年(1769)に出版された本で、『日本古典全集』にその写真複製が収められています。左の画像もこれによるもの。

この画面の三行目から四行目がタコに関する記事です。大字で記された「海蛸」以下四種の見出し字がタコの漢名として示され、それぞれの項目には漢文による割注(かっちゅう)が施されています。最後に「和名 多古(たこ)」とあるのは、ここに掲げられた漢名に対する和名を万葉仮名で記したもの。それぞれの漢字が日本語のタコを表すものであることを示しています。タコが登場する文献としてはおそらくこれが最古のものでしょう。

ここに見るように、当初日本に伝わったタコの漢字表記は熟字として記されるものばかりで、現在のように「」を一字だけで用いることはなかったのです。 (この項続く)

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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thema:ことば - genre:学問・文化・芸術


タコの漢字表記をめぐって -ツィッターの話題から- (2)
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アシダカグモ日本ではタコの漢字表記に「」の字が用いられています。しかし中国における本来の漢字の意味はタコを指すものではありません。これは左の画像に見るようなアシダカグモという足の長い蜘蛛(くも)のことです。それがなぜ日本ではタコを指すようになったのでしょうか。

実は、漢字には本来タコを表す文字はないのです。かつて中国文化の中心となった地方では、日本ほどタコが身近な存在ではなかったから、漢字が作られた頃にはそういう生物を表す文字も必要なかったのでしょう。しかしながら、何かの事情で遠い国の事物について記す必要に迫られることはあったはずです。そのような場合に重宝なのは、比喩によって事物を表す方法です。

タコについてもこうした方法が取られました。

タコの特徴である八本足、それと同じ数を備え持つ生物、それにぴったりなのはクモです。タコを表す一字の漢字がなくとも、二字以上の漢字を組み合わせて《海の蜘蛛》の意味を表す熟字を作ればなんとかなります。

このようにして、クモを表す「蛸」字の前に「海」を置いて「海蛸」あるいは「海蛸子」(「子」はさほど意味のない接尾語)という熟字が生まれました。(この項続く)

朝の散歩で久しぶりに城尾ファミリーの一員に会いました。しっかり二匹の仔猫を育てている最中。毛色は母親とは似ても似つきませんが(笑)

IMGP3097.jpg
*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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ツィッター両吟歌仙『青梅』の巻が満尾しました(縦書)
IMGP3064.jpg

ツィッターの7月4日付『今日の季語』で「青梅」を季題に取り上げたところ、前回両吟歌仙のお相手を願った水魚さんがこの季語を用いた詠句を披露して下さいました。そこで例によってこれを発句として両吟歌仙『青梅』の巻の付合を始めることにしました。

本日その付合がめでたく満尾しました。(2010.07.13)

なおI.E.などのブラウザでは縦書き画面に乱れを生じますので、Firefox または Safari でご覧になることをお勧めします。



 
タl両吟歌仙
青梅
の巻
 
 
 
 
 
宗海捌
 


初折表
 
発句
 
青梅や信濃に雨のやはらかき
 
 
 
 
 
 
水魚
 
仲夏
 
 
 
 
雲間漏れ来る夏の輝き
 
 
 
 
 
 
 
 
宗海
 
三夏
 
第三
 
谷川の浅瀬に浸す魚籠
びく
揺れて
 
 
 
 
 
 
 
 
夕餉の膳に上る塩焼
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
月今宵をんな同士の小旅行
 
 
 
 
 
 
 
 
 
仲秋
 
折端
 
 
ては戻す棚の鬼灯
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三秋
初折裏
 
折立
 
分け入りて葉擦れに零す露の玉
 
 
 
 
 
 
 
三秋
 
 
 
 
猟犬逸る熊野山狩り
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三冬
 
 
 
脚絆解く仮寝の恋に歌比丘尼
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
後朝
きぬぎぬ
恨む目元まばゆき
 
 
 
 
 
 
 
隈取に見栄を切
たり團十郎
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ンス到来響くブブゼラ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
雨後の庭羽蟻の群に弦の月
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三夏
 
 
 
 
不機嫌さうに黙る飼猫
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
老翁は腕に覚えの石職人
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
昼餉の蕎麦の硬き歯触り
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
仲見世の賑はひ抜けて花の寺
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
折端
 
 
春の日傘は外つ国の客
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春

名残折表
 
折立
 
ぼん玉吾子
あこ
の吐息を運び行く
 
 
三春
 
 
 
 
軒の間
あはひ
に風のひとすぢ
 
 
 
 
 
 
 
 
路地裏を狭げに並ぶ植木鉢
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
酒瓶下げて角の酒屋へ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
なるやうにしかならなんだ年の暮
 
 
 
 
 
 
歳末
 
 
 
 
追儺
つゐな
に集ふ頬の輝き
 
 
 
 
 
 
晩冬
 
 
 
正装をすればなにやら面映ゆく
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ひと目惚れとは見合ひ上
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
予定表この頃増えた朱のハ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲラ刷りの束綴づる荒紐
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
連子窓差し入る月の影清く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三秋
 
折端
 
 
老ひとり巻く長き鹿垣
ししがき
 
 
 
 
三秋
名残折裏
 
折立
 
隼人瓜今年はことによく生りて
 
 
 
 
 
 
 
晩秋
 
 
 
 
薩摩おごじ
と飲み明かしたり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
五百円硬貨ばかりの持ち重り
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
路上暮らしの気儘愉しき
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
懐に仔猫眠らせ花盛
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
挙句
 
 
往き交ふひとの遠く朧に
 
 
 
 
 
 
 
執筆
 
三春
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
起首
 
二〇一〇
〇七
〇四
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
満尾
 
二〇一〇
〇七
一三

とびぃ
連句
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thema:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など - genre:学問・文化・芸術


タコの漢字表記をめぐって -ツィッターの話題から- (1)
IMGP1855.jpg

サッカーワールドカップ南アフリカ大会は、昨日の優勝決定戦を最後に幕を閉じました。

この間、ドイツ代表の試合に加え決勝戦を含めた全8試合の結果を100%的中させた、ドイツの水族館に飼育されているタコ「パウル」君のことが世界中の話題になりました。

その神通力にあやかろうというわけではありませんが、今朝のツィッター上の【今日の季語】の季題にはこの生物を取り上げました。

【今日の季語】章魚(たこ):捕獲用の「蛸壷」も同じく三夏の季語。食用としては明石の蛸が美味で、ことに夏の蛸は味がよいとされる。この夏は予知能力のある蛸が話題を集めた。◆章魚沈むそのとき海の色をして(上村占魚)


これに、さらに次の追記を加えました。

【今日の季語:追記】蛸の例句は意外に少ない。これが夏の季語とされたのは後代のことである。「蛸壺やはかなき夢を夏の月」(芭蕉)はよく知られるが、この句では「夏の月」が季語で、蛸壷は季語として扱われていない。


実はこのほかにも取り上げたい話題があったのですが、一回あたり140字の字数制約のあるツィッターのタイトルライン上ではとうてい無理なので、ブログに場を移してそれを取り上げてみたいと考えた次第です。 (この項続く)

画像は大洗水族館で昨年暮に撮ったもの。こちらはパウル君のようには行かないかもしれません(笑)

*撮影機材 :PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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ツィッター両吟歌仙「寝冷子」の巻満尾 (縦書)
IMGP3041.jpg

6月22日からツィッターのタイムライン上で興行されていた、水魚さんとの両吟歌仙『寝冷子』の巻が、本日めでたく満尾を迎えました。その作品を縦書きの形でご覧に供します。なお、ブラウザによっては画面が乱れることがありますので、Firefox または Safari でご覧になることをお勧めします。

【校合100706】挙句「乙女らの声春野渡れり」を「海へと続く道は朧に」に改めました。

 
 
タl両吟歌仙
寝冷子
の巻
 
 
 
 
 
宗海捌
 
初折表
 
発句
 
寝冷子を抱き寄す夜明けしらじらと
 
 
 
 
水魚
 
三夏
 
 
 
 
梅雨蜩
ひぐらし
の声のかそけさ
 
 
 
宗海
 
仲夏
 
第三
 
絵蝋燭旅の土産に求め来て
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
米酢を垂らすぬた和への鉢
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
月の道分け入る先に庵
いほ
の跡
 
 
 
 
 
 
三秋/月
 
折端
 
 
草の葉末に露重げなる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三秋
初折裏
 
折立
 
唐黍
たうきび
の焼くる匂ひに道の駅
 
 
 
 
仲秋
 
 
 
 
釣銭渡す白き指先
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
雑/恋
 
 
 
逢引に薄く残せし爪の形
かた
 
 
 
 
 
 
 
雑/恋
 
 
 
 
音立てて呑む水差しの水
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アラジンがランプを擦る日暮れ時
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
血潮に染まる蝕の冬月
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三冬
 
 
 
大灘へ捕鯨船駆る島猟師
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三冬
 
 
 
 
碧眼のひとパライゾを説く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
舶来の本に押されし金の箔
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
葉巻燻らす広き革椅子
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
楼閣に見やる祗園の花篝
はなかがり
 
 
 
 
晩春
 
折端
 
 
間遠に響く鐘おぼろなり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三春


名残折表
 
折立
 
旅に倦みをれば蛙のめかり時
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
 
 
 
常陸訛りに油商ふ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ぞんざいに継ぎの当たりし膝頭
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
大樹の叉
また
に笑ふお転婆
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
船玉の淵に河童が出るさうな
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
揺るるボ
トに歌ふロ
レライ
 
 
 
 
 
 
 
三夏
 
 
 
低空を掠め去り行く戦闘機
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
隠れ家の隅日記旧りにし
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
道ならぬ恋の告白切
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
心変はりは先にするべし
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
哀しげに木間
こま
を漏り来る月の影
 
 
 
 
三秋
 
折端
 
 
崩れ簗へと瀬音絶えせず
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晩秋
名残折裏
 
折立
 
厨辺
くりやべ
に干魚下げて冬支度
 
 
 
 
 
晩秋
 
 
 
 
考古学者は少年の夢
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しりと機動戦士の勢揃ひ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
集積回路光る静謐
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コンヌの緩く流るる花盛り
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
挙句
 
 
海へと続く道は朧に
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
執筆
 
三春
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
起首
 
二〇一〇
〇六
二二
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
満尾
 
二〇一〇
〇七
〇三

とびぃ
連句
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thema:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など - genre:学問・文化・芸術


ツィッター連句二巻 本日までの進行状況 (縦書)
目下ツィッター上で興行中の歌仙二巻を付合の進行に合わせてご覧に供します。

寝冷子」の巻は、水魚さんとの両吟歌仙、「沖縄忌」の巻は飛び入り参加自由で、付順を決めずに連衆から毎回投句をしてもらい、捌きがよい句を選ぶ「出勝(でがち)乱吟」の方式に従う興行です。なお、ブラウザによっては画面が乱れることがありますので、Firefox または Safari でご覧になることをお勧めします。

 
 
タl両吟歌仙
寝冷子
の巻
 
 
 
 
 
宗海捌
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
起首
 
二〇一〇
〇六
二二
初折表
 
発句
 
寝冷子を抱き寄す夜明けしらじらと
 
 
 
 
水魚
 
三夏
 
 
 
 
梅雨蜩
ひぐらし
の声のかそけさ
 
 
 
宗海
 
仲夏
 
第三
 
絵蝋燭旅の土産に求め来て
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
米酢を垂らすぬた和への鉢
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
月の道分け入る先に庵
いほ
の跡
 
 
 
 
 
 
三秋/月
 
折端
 
 
草の葉末に露重げなる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三秋
初折裏
 
折立
 
唐黍
たうきび
の焼くる匂ひに道の駅
 
 
 
 
仲秋
 
 
 
 
釣銭渡す白き指先
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
雑/恋
 
 
 
逢引に薄く残せし爪の形
かた
 
 
 
 
 
 
 
雑/恋
 
 
 
 
音立てて呑む水差しの水
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アラジンがランプを擦る日暮れ時
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
血潮に染まる蝕の冬月
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三冬
 
 
 
大灘へ捕鯨船駆る島猟師
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三冬
 
 
 
 
碧眼のひとパライゾを説く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
舶来の本に押されし金の箔
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
葉巻燻らす広き革椅子
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
楼閣に見やる祗園の花篝
はなかがり
 
 
 
 
晩春
 
折端
 
 
間遠に響く鐘おぼろなり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三春


名残折表
 
折立
 
旅に倦みをれば蛙のめかり時
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晩春
 
 
 
 
常陸訛りに油商ふ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ぞんざいに継ぎの当たりし膝頭
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
大樹の叉
また
に笑ふお転婆
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
船玉の淵に河童が出るさうな
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
揺るるボ
トに歌ふロ
レライ
 
 
 
 
 
 
 
三夏
 
 
 
低空を掠め去り行く戦闘機
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
隠れ家の隅日記旧りにし
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
道ならぬ恋の告白切
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
心変はりは先にするべし
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十一
 
哀しげに木間
こま
を漏り来る月の影
 
 
 
 
三秋
 
折端
 
 
崩れ簗へと瀬音絶えせず
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
晩秋
名残折裏
 
折立
 
厨辺
くりやべ
に干魚下げて冬支度
 
 
 
 
 
晩秋
 
 
 
 
考古学者は少年の夢
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しりと機動戦士の勢揃ひ
 
 
 
 
 
 
 
 
 


とびぃ
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